ホスピスでのターミナルケアとは

いま注目されているターミナルケアを知っておきましょう!
日本のターミナルケアを考える

近代ホスピスを築いた母

2012年に改訂されたがん基本計画によると、がんと診断された時からターミナルケアが必要とされています。まさにその通りで、ターミナルケアと終末期治療は切っても切れないものです。近年、高齢化する社会にターミナルケアはとても大切なものとなっています。

近代ホスピスを築いた母
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近代ホスピスの母

最初のホスピスの原型は1879年、19世紀末にアイルランドにできて以来、1967年に英国で医師シシリー・ソンダースがセントクリストファーホスピスを立ち上げました。イギリスでは現在も独立型のホスピスが主体となっています。1975年にはアメリカにもホスピスが誕生し、同年にはカナダで病院内にターミナルケア病錬ができました。日本のターミナルケアは、独立型のホスピスよりも病院内でのターミナルケア病棟が中心となって発展してきました。シシリー・ソンダースは元々看護師で、当初はソーシャル・ワーカーのようなことをやっていたそうです。その後、39歳で医師となり、48歳にホスピスを開設、その功績により近代ホスピスの母と呼ばれるようになりました。

近代ホスピスの母

シシリー・ソンダースのターミナルケア

シシリー・ソンダースがホスピスを誕生させる以前から、ホスピスの原型はありました。彼女のホスピスで特徴的なのは、モルヒネの積極的使用での疼痛コントロールでした。科学的な根拠に基づいて、痛みをコントロールする他、精神的な苦しみに重視した、いわゆる全人的苦痛というアプローチを始めました。彼女は、もし自分ががんの末期になった時に望むものは、牧師が祈ってくれる事でもないし、精神科医が話を聞いてくれる事でもなく、正確に痛みの原因を捉え、治療して貰う事だと言っています。ようするに、身体症状の緩和がいかに大事かを語っているのです。
また、患者をひとりの人格として扱う事が大切だと言っています。これは最近の医学教育では当然の事ですが、ひと昔前は患者を診ずに病気を診る、患者は病人、医師は病人の持っている病気を診るという風潮がありました。また、彼女はホスピスの五原則として、患者の苦しみを和らげる、不適切な治療は行わない、死別の悲しみや家族のケア、チームワークが重要だと挙げていました。今では当然の事ばかりですが、当時としては非常に画期的なことを伝えていたのです。

シシリー・ソンダースのターミナルケア

死の受容は必須ではない

キューブラー・ロスも紹介します。彼女は精神科医で、死の受容のプロセスについて分析しました。「死の瞬間」の著者で有名な精神科医です。人は治らないがん、すなわち末期がんなどと言われたときに、最初は否定の反応を見せます。その後、怒りや取引の反応があって抑うつ状態となり、最終的に受容して亡くなっていくという過程を彼女は提唱しました。しかし、彼女は自分が死ぬ時には、うまく受容できなかったと言われています。
現在日本には250以上のホスピス、ターミナルケア病棟がありますが、入院相談の際に当院では点滴や治療はしませんと宣言しているところもあります。しかし、最近では症状を緩和する治療は最大限に行うというホスピス、ターミナルケア病棟も増えました。ターミナルケアには入棟委員会というのがあり、面接をして患者がホスピスやターミナルケア病棟に入る資格があるかどうかを決めます。何故かと言うと、以前は死を受容していない患者は入れないというところもありました。
現在はこれに対し、最終的に死を受容しなくてもいいではないかという論調も増えてきました。特に分子標的治療薬のような、死に至る直前まで使うことがある薬も出てきたので、医療者側も、最後まで生きたいと願う患者の気持ちを必ずしも否定しないようになってきました。つまり、死に対して最後まで否認をする事、死の受容は必須ではないのです。最後まで希望を失わずに生きていくという、患者の前向きな気持ちとも言えます。

死の受容は必須ではない

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